去年FIFTY-FIFTYをメイン板として使用してみたので感想や、どんな板なのか、どんな人にオススメなのか解説していきたいと思います!
「FIFTY-FIFTYに実際に乗りやすいの?」
「ライダーの中川智貴さんはとても上手いけど一般人が乗ってもうまく滑れる?」
「実際に乗ってる人の感想や評価を聞いてみたい」
そんな方のために、本日はFIFTY-FIFTYを60日間乗りつくした僕が、
- FIFTのに一年間乗ってみた評価・感想
- やりやすかった技や乗ってよかったなと思った点
- FIFTYがどんな人におすすめか
を話していきます。
FIFTY-FIFTYを一言でいうと、「ダブルキャンバー形状のソフトフレックスな板で、これからプレス・マニュアル系を練習したい人、自分のスタイルを追求したい人におすすめ」な板です。
トリックの種類別にいうと、特にプレス・マニュアル系はやりやすかったです。
- プレス・マニュアル系:◎
- 360°以下のオーリー・ノーリー:◯
- 540°以上の高回転トリック:△
高回転トリックは△をつけていますが、慣れや練習次第では全然可能です。ここに関しては後ほど解説していきます。
この記事では、僕以外にもFIFTY-FIFTYを使っていたことがある人から評価や感想をもらっており、さらにライダーの中川智貴さんにも乗ったメリット・デメリットを伺っています。
全体的にかなりボリュームがあり、細かい部分までしっかり解説していますので、是非読んで参考にしてみてください。
FIFTY-FIFTYとはどんな板?概要・スペック
まずはFIFTY-FIFTYの概要から。
FIFTY-FIFTYとは、MOSSというメーカーから出ているグラトリ向けの板です。MOSSといえば伝統ある日本国産メーカーで、他に有名な板だとTOTOやTOTO BLACKがあります。グラトリをする人なら誰もが知っている板ですね。
MOSSは多種多様な板を揃えていることから多くのファンがおり、今やグラトリ界で知らない人はいない「中川智貴」さんや、グラトリ界のレジェンド「長谷川健太」さんもこのメーカーのライダーとして活躍しています。
FIFTY-FIFTYのスペック表
形状 | ダブルキャンバー |
シェイプ | ツインチップ(左右対象) |
硬さ | かなり柔らかめ(10段階中3) |
レベル | 初心者〜中級者向け |
向いている滑り | 低速でのノリ系グラトリ |
サイズ | 138cm,143cm,147cm, 150cm,153cm,156cm |
FIFTY-FIFTYの20-21モデルに一年間乗ってみた評価・感想
それでは、FIFTY-FIFTYを僕が1シーズン使ってみて感じた感想を解説していきます。
Q.プレス・マニュアル系トリックのやりやすさは?
プレス・マニュアル系トリックのやりやすさは申し分ありません。
その要因は2つあります。
- ダブルキャンバー形状+Vロッカー形状であること
- 板のフレックスが柔らかいこと
両足の下にキャンバーがあるので、足下で踏めば簡単に板がしなります。
また、FIFTY-FIFTYは他のグラトリ向けの板と比べても非常に柔らかいフレックスです。
まさにプレス・マニュアル系のトリックをこれから練習したい!極めたい!という方におすすめの板ですね。
Q.柔らかいけど、飛び系もできる?反発はある?
「FIFTY-FIFTYは乗り系トリックがやりやすいはよく聞くけど、オーリー、ノーリーなどの飛び系のトリックはどうなの?」という質問をよくもらいます。
結論「コツを覚えれば飛び系トリック問題なくできます。」
FIFTYはダブルキャンバー形状なので、乗り換えて何日か反発のタイミングなど、感覚を掴むまで苦労をしました。
しかし、板が柔らかい分板の全体のフレックスを使いやすいので、硬い板にのって板をしならせることができないよりも、圧倒的に反発を貰いやすいです。
ただ、強靭な脚力を持ち、既に硬い板全体のフレックスを使えているという人には物足りないと感じるかもしれません。
Q.ターンのやりやすさは?
ダブルキャンバーの板ということもあり、ターンのやりやすさは多くの方が気にしているのではないでしょうか。
率直に言うと最初はかなり苦戦すると思いますが、ここも慣れ次第でキャンバーボードと同様な感覚でターンができます。
ダブルキャンバー という形の特徴から、カービングをする時もしっかりと両足を意識してターンをしないといけないため、慣れないうちはエッジが抜けやすく少し難易度も高いです。
ただ、このターンの仕方は慣れれば問題ないということと、次にキャンバー形状の板に乗った時にカービングが非常に楽に感じます。
考え方次第では、キャンバーの板よりも意識することが増える分、技術も向上するというメリットもあります。
Q.柔らかいからヘタり易い?
これは結論から言うと、他の板と比べると少しヘタり易いかなと感じました。
ただ、シーズン終盤の方が脚力が強くなっていることも踏みやすく感じる要因の一つだと思いますので、あくまで個人の感覚によるかと思います。
ハマると1、2シーズンごとに板を替える人もいるので、そこまで気にしなくても良いのではと個人的には思っています。
元ライダーの中川智貴さんにFIFTY-FIFTYの評価を聞いてみた
メリット1:Vロッカー形状だから意外とハリがあるのに踏みやすい
FIFTY-FIFTYはダブルキャンバーのVロッカー形状といって、横から見た時にV字で真ん中が雪に接している形をしています。
そもそもグラトリをするときは板のセンターのフレックスが大事だと僕は思っていて、センターが硬い方が板がしなってからの反発は強く感じられます。
しかしキャンバー形状の場合、板がアーチの形をしているので、しならせるとは逆の形をしています。なおかつ、硬い板は脚力がある程度ないと「板を踏めない」ことが多いにあります。
FIFTYは板が柔らかくて踏みやすいと言われることが多いですが、実はセンターは意外とハリがあるんです。なので、反発はそこそこある板だと思っています。
そのハリがあってもVロッカー形状なので踏みやすく反発をもらいやすいというメリットがあるので「Vロッカー形状×ハリのあるフレックス」という組み合わせにまず着目してもらいたいですね。
メリット2:足下だけで板をコントロールできるから、上半身の軸がブレにくい
FIFTYは足下だけで踏んだりと操作ができるので、初動で上半身は踏みいったり乗りにいったりするとき以外は、ほとんど上半身は使っていません。
ですので、技の最中に上半身に余裕があります。だからミスりそうになった時もそこからリカバリーが効きやすいです。
リカバリーとは体がいつもしない体勢だったり、極端に軸がブレた時に挽回しようとしてでる動きですよね。
キャンバー形状の板などの場合、まず上半身で踏みにいったりの動作が必要なので、ダブルキャンバーと比べると軸はブレる確率が高くなります。
メリット3:ノーリーが安定して打てる
僕はある程度ノーリーの成功確率も高い方なのですが、ここでもFIFTYの利点を活かしています。
ノーリーの打ち方はいくつかあって、外力を使って一撃必殺的な打つ場合はキャンバー形状の硬い板でも良いと思うのですが、それだと板のフレックスに踏み負けることがあるので、確率が安定しません。
さらに、上記の打ち方でやる場合は、速度が早くなり板が硬くなるので、踏んで板のレスポンスが返ってくるまでの時間が短いので、タイミングを取るのが難しいです。
上記以外だとノーリーの打ち方は2種類あります。
- ノーズを踏む人
- 後ろ足を蹴り上げる人
僕はノーズを踏んで跳ねる人なのですが、後ろ足で蹴り上げる打ち方の人はノーズが踏めてないからそうやっているパターンが多いです。
後ろ足で蹴ろうとすると体の上半身を捻るため、その時点で上半身の軸がずれます。ノーズを踏む場合はそういった無駄な動きがないので軸が安定しやすいんです。
外力任せのノーリーだとそこが博打的で、たまたまタイミングがあって、板の性能の50%を使えている状態なので、全体的には50%の力しか出ていません。
しかし、FIFTYのようなダブルキャンバーの板でノーズ踏みのノーリーが打てると、例えば毎回板の性能を30%使えて、自分の力が30%使えるとなると、60%の力でノーリーが打てるます。僕はこっちの方が強いと思っています。
さらに、板をしならせたり、上半身を捻ったりなどの余分なことを考えなくていい分、空中での動きも意識を及ぼすことができるため、ロックやシャッフルなど空中で板を動かしたいという人にもおすすめなんです。
メリット4:とにかく軽くて取り回しやすい
FIFTYは余計な素材を使っていないので、とにかく軽くて扱いやすいです。
最近のグラトリ女子はそれこそ男子顔向けのノーリーを打ちたいと言っている人をよく聞きます。多くの女性はそれこそスピードを出して外力で一撃的なノーリーを打っています。
先ほどの話と被りますが、女性でもFIFTYでノーズを踏んで打つノーリーを身につけると安定しますし、とにかく軽くて疲れにくいので、そういう点からも女性にももっと乗ってもらいたい板となっています。
デメリット:最初はエッジを使うのが難しい
やはりダブルキャンバーの板ですので、ランをするっていう点では最初のうちエッジコントロールは難しいと思います。
グラトリではなんの技をするときも、最初のエントリーでエッジを使うじゃないですか。
速度域が上がるほどエッジは噛みづらくなるので、特にノーリーを例に出すと、ノーリーは他のトリックに比べて速度が上がる分、エッジコントロールが難しいです。
使い始めた初期はノーリーを打つのに、速度域が上がってもエッジを噛ませながら打つことが難しいという壁にぶち当たる人もいますね。
他にもFIFTY-FIFTYにのってる人に評価を聞いてみた
グラトリ歴12年の荒川直輝の感想と評価
体の重心を片足の上にずらすだけで板が上がるので力まずにトリックできること、板の反発を自分のタイミングで作りやすいことから、プレス系のトリックが非常にやりやすいです。
キャンバー形状の板に乗っていた時に比べてプレス系トリックの幅が大きく広がりました。
また柔らかいながらも板の張りがあるので、オーリーやノーリーなどの弾き系のトリックもしっかり高さを出すことも出来ます。
非常に扱いやすくグラトリに特化した板なので、これからグラトリを始める方が板に乗る感覚、弾く感覚などを覚えるのに最適で確実にステップアップできる板だと思います。
グラトリ歴11年の早川弘晃による感想と評価
具体的にはいつもより板が上がってるねと言われることが多くなりました。
また、FIFTY-FIFTY以外のキャンバー形状の板を乗っていた時はプレス1つするにしても強く踏み込まないと板が上がってくれず大変だったのですが、FIFTY-FIFTYは体感だと3分の1程度の体力で板を踏むことができます。
踏むというより、乗りたい板の位置を自分の体に対してずらすだけで勝手に板が上がるので、板にのる感覚を掴みたい方や、普段はキャンバーボードを使っていてたまに遊び用の板が欲しいなと思っている方におすすめしたいです。
FIFTY-FIFTYがおすすめな人
プレス系・マニュアル系の基礎を上達させたい人
ダブルキャンバーという形状の特性として、板をしならせやすいという特性があります。
板を楽にしならせることができるので、プレス・マニュアルの形を作りやすく、特にプレス・マニュアルは体勢が重要なので、まずはかっこよく魅せられるようにこの板で練習するべし。
硬い板を使っていたけど、なかなか飛び系が上達しない人
硬い板で飛び系の上達が遅いと感じたら、ぜひこの板を試して欲しいです。特に脚力に自信のない人はこの傾向に当てはまりやすいかもしれません。
自分のスタイルを出したい人
板が柔らかいので、足元からテール・ノーズの端までどこを踏んでも(体重をかけても)板をしならせることができます。
ですので、同じトリックをしていても違うトリックに魅せることができたり、ダブルキャンバーのエッジの引っ掛かりが少ない特性を生かしてリカバリーから思わぬ技ができたりします。
個人的にはこのリカバリーには個人のスタイルが色濃く出ると思います。
やろうと思っていた技ではなく、その瞬間の思いつきや、転ぶのを回避する際にとっさに出た動きで技をすること。
リカバリーで新しい技を生み出したい人
ダブルキャンバー という形状は、エッジが引っかかりにくく、板から反発を得ることが容易です。
ですのでキャンバー形状の板に比べると、やろうと思っていた動きに失敗した時でも反射的な動きに板が反応してくれます。
そんな時に思いもよらない技が生まれ、今まで誰もやっていなかったNEWトリックが生まれることが少なくありません。「既存の技に飽きてきた、、新しい技を生み出したい!」という人にぜひおすすめしたい板です。
グラトリ初心者や1〜2年やっていきづまってる人
理由は、初心者のうちって技を練習する時に意識しなきゃいけないことが多くて、これができるようになったら、今度はあっちの動きができなくなって、などと大変に感じると思います。
FIFTYならとにかく無駄な動きを少なくして板の操作ができるため、自分が練習したい動きに意識を集中することができますし、何より体勢が安定します。
踏みやすいのに反発もしっかりあるというところで、オールマイティにグラトリを練習できますので、是非この板でステップアップしてください!
まとめ
というわけで、今回はMOSSのFIFTY-FIFTYについて解説してみました。